公立中の「生徒による校則改定」。中間地点の今、こんな感じです(教員視点)
ルールメイキングプロジェクトとは…?
「校則やルールについて『おかしいな』と思うことはありませんか? 私は、生徒手帳に書いていることがあやふやで、わからないことがあります。」
「私たち生徒会と校則を変えてみませんか?」
本校生徒会長の力強い呼びかけでスタートした小津中学校の「ルールメイキングプロジェクト」。
NPO法人カタリバや経済産業省「未来の教室」実証事業の支援のもと、コーディネーターや有識者のサポートを受けながらも、あくまで生徒が主体となって実施していく校則改定プロジェクトです。生徒が、教員・保護者・地域の方などとの対話を重ね、校則・ルールについて納得解を見つけていくことになります。
小津中は「生徒主体の学校を創る」ということに比較的まじめに取り組もうとしている学校だと思います。生徒一人ひとりが安心してハッピーに過ごせる学校づくりを、実際的に生徒の手で実現していく。その中で「自分たちの学校(や社会)は自分たちで変えられる」という当事者意識を育めるのではないか。このプロジェクトを通じて、少しでも子どもたちが、自身の周囲の環境への当事者意識や自治の意識を育ててくれたらなあと、昨年度末、学校が実証事業校に応募してプロジェクトが実現しました。
ここまでの活動まとめ。
冒頭の生徒会からの呼びかけに応えた有志メンバー+生徒会メンバー、計20名弱の「ルールメイカー(本校のルールメイキング担当生徒の呼び名)」がこのプロジェクトを実際に動かすメンバー。
彼らは「生徒の生徒による生徒のための校則」というコンセプトを打ち出し、これまで小津中の校則・ルールについて考えてきました。9月22日には「全校クラス会議」を実施。白熱するクラス会議を切り盛りするのは先生、ではなく彼ら「ルールメイカー」。制服、髪型、スマートホン、自転車通学とか、こちらが想定したものもあれば、「給食にふりかけをかけたい」みたいなものまで、とにかくたくさんの「変えたい校則・ルール」が寄せられました。
現時点で思うこと。
このプロジェクトを通じて感じるのはルールメイカーの子どもたちの頼もしさ。カタリバの方がいつも的確にファシリテートして下さることもあり、「全校の生徒を巻き込むにはどうしたらいいか?」とか、「先生たちに自分たちの活動を意識してもらうにはどんな方法で意見を集めるのがいいか?」など、答えを見つけることが容易でない課題も、子どもたちの力で乗り越えてきました。そんなやり取りの中で、「校則は縛るものではなく、みんなを守るものという認識を作りたい」、「そもそも、『中学生らしい』とかいう曖昧な表現を全て改めたい」、「先生たちを私たちが巻き込んで変えていきたい」…といった、頼もしい子どもたちの言葉がぽろりぽろりとこぼれてきます。
当初、ルールを決める主体を生徒に委ねることに、少なからず不安を感じていたのは大人(教員)たちの方だったと思います。例えば、ルールメイキングを行うにあたっても、明言はしないのですが「結論は大筋で大人が決めておいてその枠内におさめてしまおう」みたいな意識が担当教員間の話の中でもよく出てきていたように思います。しかし、生徒の頼もしさを目の当たりにして、あるいは教員たちもまたルールメイキングの対話を重ねて、大人の意識も、時に自覚的に、あるいは無意識のうちに、日に日に変わりつつあると感じます。「子どもたちの意見を聞いて、目からウロコが落ちた」みたいなことが実際に結構おこっていたりもします。
「予め『正解』を用意しない」、「子どもたちが(大人たちとともに)『納得解』を見つけることを、ちゃんと信じて見守る」。わかってはいるけれども、実行に移しきれていなかったり中途半端だったりした自分たちの意識は、実際にプロジェクトを進めていくうちに更新されていくものだと感じています。
※詳細は本校HPの「ルールメイキング」カテゴリより御覧下さい。